【大人の教養 Vol.13】日本語の意外な語源・由来10選!毎日使う言葉に隠された歴史とは?
こんにちはR2-TMです。
「ありがとう」「さようなら」「もしもし」。毎日のように使う言葉ですが、どうしてそう呼ぶのか考えたことはありますか?実は、当たり前に使っている日本語にも、昔の暮らしや人々の考え方が残されています。今回は、知ると誰かに話したくなる日本語の語源・由来を10個紹介します。
前回の「大人の教養 Vol.11・Vol.12」では、意外な略語を取り上げました。今回は少し方向を変えて、言葉が生まれた背景を探っていきましょう。
ただし、語源には明確なものもあれば、複数の説が残るものもあります。面白い話だからといって、すべてが確定した歴史とは限りません。その違いにも注目してみてください。
- 1.「ありがとう」は、もともと珍しいことへの言葉だった
- 2.「さようなら」は、会話をつなぐ言葉だった
- 3.「もしもし」は、相手に呼びかける言葉から生まれた
- 4.「がんばる」は、もともと意地を張る意味だった?
- 5.「いただきます」は、頭の上に載せる動作と関係している
- 6.「ごちそうさま」の「馳走」は、走り回ることだった
- 7.「すみません」は、気持ちが済まないことから
- 8.「よろしく」は、何をお願いしている言葉なのか
- 9.「ところで」は、場所の「ところ」と関係がある?
- 10.「なんとなく」は、はっきりしない感覚を表す日本語
- 日本語の語源・由来10選を一覧で振り返ろう
- 語源を調べるときに気をつけたい3つのこと
- まとめ|毎日使う言葉には、長い歴史が隠れている
- 関連記事|大人の教養シリーズ
- 次回予告|Vol.14「睡眠の不思議」
1.「ありがとう」は、もともと珍しいことへの言葉だった
誰かに親切にしてもらったとき、自然に口から出てくる「ありがとう」。
今では感謝を表す代表的な言葉ですが、もとをたどると少し意外な意味に出会います。
「ありがとう」は、形容詞の「ありがたい」に由来します。さらに古い形は「有り難し(ありがたし)」です。
「有る」ことが「難しい」。つまり、めったにない、珍しいという意味を持っていました。
そこから、めったにないほど尊いこと、喜ばしいことを表すようになり、感謝の意味へとつながっていきました。
例えば、困っているときに誰かが手を差し伸べてくれたとします。その親切は、決して当然のものではありません。
そう考えると、「ありがとう」という言葉には、相手の行為を当たり前と思わない気持ちが込められているようにも感じられます。
なお、「ありがとう」はポルトガル語の「オブリガード」に由来するという話を見かけることがあります。しかし、日本語の「ありがたし」はそれ以前から存在しており、この説は語源として支持されていません。
音が似ているからといって、同じ起源とは限らない。語源を調べる際に覚えておきたいポイントです。
2.「さようなら」は、会話をつなぐ言葉だった
別れ際のあいさつとして使う「さようなら」。
実は、最初から別れを意味する独立した言葉だったわけではありません。
もとになったのは「左様ならば」という表現です。
「左様」は「そのよう」、「ならば」は「そうであるなら」という意味。合わせると「そういうことならば」といったニュアンスになります。
会話の途中で「それならば」と話を受けたり、次の行動へ移ったりする際に使われていた表現が、別れのあいさつとして定着していきました。
今の感覚では「さようなら」と言うと、少し改まった別れを連想することもあります。
一方、日常会話では「またね」「じゃあね」「お疲れさま」といった表現を使うことも多いでしょう。
同じ別れの場面でも、時代や相手との関係によって言葉が変わるのは面白いものです。
もともと「それならば」という会話の流れを表す言葉だったと知ると、「さようなら」の印象も少し変わりませんか。
3.「もしもし」は、相手に呼びかける言葉から生まれた
電話に出るときの「もしもし」。
何気なく使っていますが、考えてみると不思議な響きです。
この言葉は、動詞「申す」に由来する呼びかけの表現と説明されています。
「申す」は「言う」の謙譲語。相手に何かを伝えようとするときの「申します」「申す、申す」といった呼びかけが、電話のあいさつとして変化したと考えられています。
電話が普及し始めた頃は、現在のように相手の名前が画面に表示されるわけではありません。
離れた相手に声が届いているかを確かめながら、会話を始める必要がありました。
そのため、電話の呼びかけには独特の表現が定着していったのです。
ちなみに、ビジネス電話では「もしもし」よりも「お電話ありがとうございます」「お世話になっております」などの表現が好まれる場面もあります。
言葉の由来を知ることと、今の場面に合った使い方を知ること。その両方が、大人の教養なのかもしれません。
4.「がんばる」は、もともと意地を張る意味だった?
「今日も仕事をがんばろう」「あと少し、がんばって」。
前向きな励ましとして使われる「がんばる」ですが、語源については複数の説があります。
よく紹介されるのが「我を張る(がをはる)」から変化したという説です。
「我を張る」は、自分の考えや意志を強く押し通すことを意味します。
現在の「がんばる」にある、困難に負けず努力するという意味とは、少し印象が違いますね。
ただし、「がんばる」の成立については「眼張る」など別の説明もあり、「我を張る」だけが確定した語源というわけではありません。
また、言葉の意味は時代とともに変化します。
自分の意志を曲げないという意味合いが、努力して踏みとどまる、困難に耐えるといった意味へ広がっていったと考えると、興味深いものがあります。
とはいえ、現代では「がんばる」が必ずしも良い意味だけで受け取られるとは限りません。
疲れている相手に「もっとがんばって」と伝えるより、「無理しないでね」と声をかけた方がよい場合もあります。
言葉の歴史を知ると、使い方についても考えるきっかけになります。
5.「いただきます」は、頭の上に載せる動作と関係している
食事の前に手を合わせて「いただきます」。
日本ではおなじみの習慣ですが、「いただく」という言葉そのものには長い歴史があります。
「いただく」は、もともと「頂(いただき)」、つまり頭のてっぺんに関係する言葉です。
大切なものや目上の人から受け取ったものを、頭上に掲げるような動作から、謹んで受け取る意味が生まれたと説明されています。
現在の「いただく」には、「もらう」「食べる」「飲む」の謙譲表現としての使い方があります。
食事のあいさつ「いただきます」も、食べ物を受け取ることに対する丁寧な表現として理解できます。
ただし、「いただきます」という食前のあいさつが、いつ、どのような経緯で全国的に定着したかについては、地域差や時代差があります。
「昔の日本人は全員、同じように手を合わせていた」と単純に考えるのは正確ではありません。
それでも、食べ物を当然のものとして扱わず、感謝や敬意を表す習慣が今に続いていることは興味深いですね。
6.「ごちそうさま」の「馳走」は、走り回ることだった
食事が終わったときに使う「ごちそうさま」。
「ごちそう」と聞くと、豪華な料理を思い浮かべる方も多いでしょう。
ところが、漢字で書くと「御馳走様」。
この「馳走」には、走り回る、奔走するという意味があります。
昔は客をもてなすために食材を集めたり、料理を準備したりすることに、大きな手間がかかりました。
そうした準備のために奔走することから、もてなしを意味するようになり、さらに料理そのものを指す言葉としても使われるようになりました。
つまり「ごちそうさま」には、料理を作ってくれた人だけでなく、もてなしのために力を尽くした人への感謝を感じ取ることができます。
今ではスーパーやコンビニで食べ物を手軽に買えますが、食卓に届くまでには、生産、加工、運搬、調理など多くの仕事が関わっています。
そう考えると、「ごちそうさま」という短い言葉にも、なかなか深い意味があります。
7.「すみません」は、気持ちが済まないことから
道を尋ねるときに「すみません」。
迷惑をかけたときにも「すみません」。
場合によっては、何かをしてもらったお礼としても使います。
一つの言葉で、謝罪、呼びかけ、感謝まで表せるのは不思議です。
「すみません」は、動詞「済む」の否定表現に由来します。
「済む」には、物事が終わる、気持ちが落ち着く、十分であるといった意味があります。
そこから「済まない」は、気持ちの整理がつかない、申し訳ない、という意味で使われるようになりました。
相手に何かをしてもらったとき、「ありがとう」だけでなく「すみません」と言うことがあるのも、相手に手間をかけさせたという気持ちが含まれるためでしょう。
ちなみに「すいません」という言い方も耳にしますが、改まった文章では「すみません」を使うのが一般的です。
場面によって意味が変わる言葉だからこそ、相手に何を伝えたいのか意識して使いたいですね。
8.「よろしく」は、何をお願いしている言葉なのか
「よろしくお願いします」。
仕事のメールでも、初対面のあいさつでも、私たちはこの表現をよく使います。
ところが、外国語にそのまま訳そうとすると難しい言葉の一つです。
「よろしく」は、形容詞「よろしい」に関係する副詞的な表現です。
「よろしい」は「よい」「差し支えない」「適切である」といった意味を持ちます。
「よろしくお願いします」は、状況に応じて、適切に取り計らってほしい、良い関係を築きたい、今後も協力してほしいといった幅広い気持ちを表します。
英語では場面によって「Nice to meet you」「I look forward to working with you」などと訳し分ける必要があります。
日本語では一言で済むのに、英語では状況を説明しなければならない。
こうした違いを知ると、普段使っている日本語が、実はとても便利で柔軟な表現だと気づきます。
ただし、便利だからこそ「よろしくお願いします」だけでは依頼内容が伝わらないこともあります。仕事では、何をお願いしたいのか具体的に書くことも大切です。
9.「ところで」は、場所の「ところ」と関係がある?
会話の途中で話題を変えるとき、私たちは「ところで」と言います。
「ところで、明日の予定は?」「ところで、あの件はどうなった?」といった使い方です。
この言葉は、「ところ」に助詞「で」が付いた形に由来すると説明されます。
「ところ」は、もともと場所だけでなく、場面、状況、時点などを表す言葉としても使われてきました。
そこから、ある状況を受けて話を進めたり、別の話題に移ったりする表現が発達しました。
ただし、現在の接続詞「ところで」が成立した過程を、単純な一つの出来事として説明するのは難しいところです。
「ところ=場所だから、話題の場所を移す意味になった」といった説明は分かりやすいものの、それだけで語源が証明されるわけではありません。
言葉には、はっきりした発明者がいるものばかりではありません。長い時間をかけて使われ方が変わり、現在の意味に落ち着いた表現も多いのです。
「ところで」は、そのような日本語の変化を考えるきっかけになる言葉です。
10.「なんとなく」は、はっきりしない感覚を表す日本語
「なんとなく気になる」「なんとなく好き」「なんとなく今日は静かに過ごしたい」。
理由を明確に説明できないときに、便利なのが「なんとなく」です。
この言葉は「何となく」と書きます。
「何と」は、どのように、何と言ってよいか分からないような状態を表す表現と関係し、「なく」はその状態を副詞的に表す形の一部です。
現在では、明確な理由や目的がないこと、あるいは漠然とした感覚を表します。
例えば、同じ景色を見ても「なんとなく落ち着く」と感じることがあります。
理由を言葉にできなくても、確かに何かを感じている。そんな微妙な気持ちを表現できるのが、この言葉の面白さです。
ただし、「なんとなく」は特定の人物や出来事から生まれた言葉ではありません。今回のほかの言葉と比べると、劇的な誕生秘話があるわけではないのです。
それでも、普段は意識しない言葉の構造を考えることで、日本語の表現の豊かさが見えてきます。
日本語の語源・由来10選を一覧で振り返ろう
| 言葉 | 主な由来・成り立ち |
|---|---|
| ありがとう | 有り難し(めったにない) |
| さようなら | 左様ならば(そういうことなら) |
| もしもし | 「申す」に由来する呼びかけ |
| がんばる | 「我を張る」説など諸説あり |
| いただきます | 「頂く」に由来する謙譲表現 |
| ごちそうさま | 馳走(もてなしのために奔走すること) |
| すみません | 「済む」の否定表現 |
| よろしく | 「よろしい」に関係する表現 |
| ところで | 「ところ」+「で」から発達した表現 |
| なんとなく | 「何となく」と表記する副詞的表現 |
語源を調べるときに気をつけたい3つのこと
1.音が似ているだけでは語源とはいえない
「ありがとう」とポルトガル語の「オブリガード」のように、響きが似ている言葉はあります。
しかし、音が似ているだけで語源が同じとは判断できません。
いつから使われていたのか、古い文献にどのような形で登場するのか、言葉の意味がどのように変化したのかを確認する必要があります。
2.一つの言葉に複数の説が残ることがある
「がんばる」のように、複数の語源説が紹介されている言葉もあります。
こうした場合は、面白い説だけを取り上げて断定するのではなく、「諸説ある」と説明することが大切です。
分からないことを分からないと認めるのも、言葉の歴史を楽しむうえで重要な姿勢です。
3.語源と現在の意味は必ずしも同じではない
「ごちそう」が豪華な料理を意味するようになったことや、「さようなら」が別れのあいさつとして定着したことからも分かるように、言葉の意味は変化します。
昔の意味を知ることは面白いですが、現在の使い方が間違っているということではありません。
言葉は人々の暮らしとともに変わり続けるものなのです。
まとめ|毎日使う言葉には、長い歴史が隠れている
今回は、「ありがとう」「さようなら」「もしもし」など、身近な日本語の語源・由来を10個紹介しました。
普段は何気なく使っている言葉でも、古い意味を調べると、昔の人々の考え方や暮らしが見えてきます。
特に「ありがとう」や「ごちそうさま」は、意味を知ることで、日常の何気ないあいさつを少し丁寧に感じられる言葉ではないでしょうか。
もちろん、すべての語源がはっきり分かっているわけではありません。複数の説があるものや、長い時間をかけて意味が変わったものもあります。
だからこそ、日本語の歴史は面白いのだと思います。
明日、誰かに「ありがとう」と伝えるとき、今日の話を少し思い出してみてください。
いつもの言葉が、少し違って聞こえるかもしれません。
関連記事|大人の教養シリーズ
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次回予告|Vol.14「睡眠の不思議」
次回の大人の教養シリーズでは、身近なのに意外と知らない「睡眠」をテーマに取り上げます。
なぜ夢を見るのか。睡眠中、脳は本当に休んでいるのか。寝不足が続くと体や心には何が起こるのか。
毎日の生活に関わる睡眠の不思議を、科学的な研究をもとに分かりやすく紹介する予定です。
次回もぜひお楽しみに。
【参考資料】日本語の意味や用法については、国語辞典、国立国語研究所などの言語研究機関による公開情報、文化庁の国語関連資料などを参考にしてください。語源については文献や辞典によって説明が異なる場合があります。
【免責事項】この記事は執筆時点の情報に基づいて作成しています。語源や言葉の成立過程には諸説あり、学術的に確定していないものも含まれます。正確性には十分配慮していますが、内容の完全性を保証するものではありません。最新の情報や詳しい解説については、専門辞典や公的機関の資料をご確認ください。
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